〜編集後記〜
子供の頃から地図を眺めるのが大好きだった。
複雑に入り組んだ海岸線や等高線、海に浮かぶ無数の島々、そして海の彼方にある巨大な大陸。
いつかこの地図に載ってる場所すべてをこの目で見てみたい、、、
そんな想いは大人になって「飛行機に乗ってるのが超苦痛、いやじっと座ってるのが超苦痛という感じかな」という事実に直面し頓挫したままではあるが、それでも地図を眺めてると無性に何処かに出かけたくなる。
まあ考えてみると、昔の人は船でこの世界を巡っていた訳で。
現在のように「陸の道」や「空の道」が整備されるはるか昔、世界は「海の道」で繋がっていた。
飛行機はてんで苦手だけど、船なら何時間乗ってても苦痛じゃない僕にとって、この海の道をめぐる冒険はとても魅力的だ。
なんなら世界中どこでも船で潜りに行きたい、くらいに。(笑)
さて、改めて日本列島を見てみるとプレートがぶつかるエリアに点々と島が続いているのがわかる。

北海道の東からカムチャッカ半島にかけて連なる千島列島。
伊豆半島の南に続く島々は伊豆諸島、小笠原諸島を経て北マリアナまで続く。
そして鹿児島の南から台湾へと続く、大隅諸島、トカラ列島、奄美群島、沖縄、八重山諸島だ。
千島列島は室町時代までにはアイヌの人々が進出。
ロシア北方と日本をつなぐ海の道として交易が行われていた、歴史ある海道だ。
親潮ど真ん中のこの海域はぜひ潜りたいエリアであるが、現実的には難しいだろう。
誰か潜ったことあるのかな?
小笠原諸島が発見されたのは16世紀後半と言われているが、実際に人が住み始めたのは19世紀に入ってから。
まさに東洋のガラパゴス。
歴史的には浅い海の道。
この北マリアナまで延々と連なる島々をチャーター船で潜りながらルポルタージュを書いた方がいる。
元都知事、そして芥川賞作家の石原慎太郎さんだ。

「禁断の島へ」
はまさに古き良き冒険ダイビングのロマンを詰め込んだ名著。
僕もこんな冒険ダイブやってみたい!
のためにはまずは芥川賞か〜(笑)
そして台湾から九州に連なる海の道。
古くはおそらく日本人のルーツとなる人々が、そして中世以降は大陸やインド洋の国々との貿易ルートとして、もっとも歴史ある、もっとも多くの人が渡ったであろう海の道。
僕らの冒険の舞台はこの世界につながる海の道。
「アイランドホッピング」
薩南&トカラDiscovery Cruiseは文字通り、鹿児島の南、そしてトカラ列島を巡るクルーズだ。
クルーズといっても船に寝泊まりするわけではない。
九州本土の枕崎と硫黄島、口之島、中之島、悪石島、宝島の宿に泊まりながら、枕崎から奄美大島まで、直線距離で320kmもあるこの広大なエリアを潜る。
東京ー名古屋が直線距離で264kmだと言えばその広大さがわかるだろうか?

*各島間の距離(目安の移動時間)
枕崎ー硫黄島 50km(90分)
枕崎ー宇治群島 80km(150分)
枕崎ー口之島 145km(270分)
硫黄島ー口永良部 35km(60分)
硫黄島ー草垣群島 80km(150分)
硫黄島ー口之島 95km(180分)
口之島ー中之島 15km(30分)
中之島ー臥蛇島 30km(60分)
中之島ー悪石島 50km(90分)
悪石島ー宝島 50km(90分)
宝島ー奄美 90km(170分)
宝島ー横当島 45km(80分)
4泊5日のクルーズだと大体500kmくらい船で走ることになる。
絶海の孤島の絶景も見どころだが、一度時化ると景色どころではなくなる。
黒潮直撃の航海の難所を案内してくれるのは長年コンビを組んでいる栄真丸。
6月末にはより大型の栄真丸GT(仮称)が就航し、より快適なクルーズを楽しめるようになるだろう。
とにかく来年も12本、夢とロマンと荷物をたっぷり船に載せて、新しい発見を求めて、僕らはこの海域で旅をする。
今まで潜ってきた島々と、新たに視察した悪石島と宝島、そしてまだ見ぬ無人島横当島を目指して。
歴史、温泉、グルメ、絶景、出会い、、、そしてダイビング。
12本それぞれに違う想いを込めて企画しています。
あなたの目的に合う旅があるといいな。
さて、海道をゆくシリーズ、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
あまり細かく記載してしまうと出会いの感動を奪ってしまいますね。
ここら辺でさらりとお開きにしましょう。
書を捨てよ、海へ!
薩南&トカラDiscovery Cruise2020でお会いしましょう!
2020スケジュール**************************
黒潮ガイド 木村尚之
薩南&トカラDiscovery Cruise
https://tokara-dive.jp
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