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「玄界灘は昔、陸だった」 〜世界遺産沖ノ島でダイビング〜

「玄界灘 神宿る島、沖ノ島でダイビング。」

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今年は季節ごとのテーマを設けて、四季折々の沖ノ島の表情を追っている。

沖ノ島の海のインパクトと言えば、巨石、魚群、そして色あざやかなソフトコーラル。
初めて訪れる方はまずそのスケール感に圧倒されるだろう。
60kmの彼方に浮かぶこの孤島は、訪れるだけでも大満足!くらいの得難い魅力を持っている。

STINGRAYとともにこの素晴らしい海のポイント調査を始めたのは2014年。
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(初代STINGRAY号)

この海が持つインパクトに熱狂し、熱に浮かされながら通いつめ、ポイントを探る日々。
気がつけば船はどんどん大きくなり、ついに三代目STINGRAYが誕生した。

インパクトを追い求めたポイント開拓期4年間の集大成として、昨年、写真家の越智隆治さんをお招きし、オーシャナにウェブマガジンを発表した。
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メディア初公開となる4日間の玄界灘、沖ノ島ロケ。
僕はそれまでの全てを、共にポイント開拓してきた仲間の情熱をぶつける気持ちでガイドを担当させて頂いた。
そして越智さんは全てを受け止め、こちらの期待をはるかに超える写真で応えてくれた。
おかげさまで大反響だったその記事は多くの方の目にとまり、「玄界灘」「世界遺産沖ノ島」の名前はダイバーの間でも少しづつ広がり、関東や関西から多くのダイバーに来て頂けるようになった。

「何を狙い、どう撮るか?」
つまり、玄界灘はダイビングサイトとして、昨年やっとこさスタートラインについたルーキーだ。
「一度は行ってみたい海」から「ずっと通いたい海」に育てていかないと、次々と現れては消えるルーキーダイブサイト達に次のチャンスは無い。

ポイント開拓当初のインパクト重視のガイディングから、
自分のガイディングでなければ出会えない風景であったり、シーンであったり、
これ、どこで撮ったんだ?誰と潜ったらこんな写真撮れるんだ?
そういった「違い」を追求していく段階に少しづつシフトしていかないといけないし、同時に常に新しいポイントを探すサーチも続けていかなければいけない。

つまり、ダイビングサイトとして成長を続けないといけない、ということだ。
今年のテーマ「何を狙い、どう撮るか?」は僕ら自身に課した成長のための合言葉。

「玄界灘ならではを考える。」
そんなルーキーサイト玄界灘独自の切り口として、僕らは次の二点を常に考えてガイドしている。

一つ目は黒潮の分流、対馬海流の存在だ。
th_current_pic01のコピー

東シナ海を北上した黒潮は、我々Discovery Cruiseのもう一つのフィールドでもあるトカラ列島で東に向かう本流と、北に向かう分流(対馬海流)とに分かれる。
対馬にぶつかった黒潮はさらに本流(北側)と分流(南側)に分かれ、南側の分流が沖ノ島を掠めて流れている。

トカラでもそうだが、黒潮が当たる西側、所謂「潮面(おもて)」の方が潮流も速く、サンゴやソフトコーラルも広大で、回遊魚との遭遇も多い。
(これは四国、紀伊半島など黒潮沿線のダイブサイトでも同じ傾向ではないだろうか?)

僕らは攻める西側、じっくり潜る東側、という色分けでポイント開拓を進めている。
大物、回遊魚、広大なソフトコーラルは西側で広範囲にドリフトで攻める。
地形や生物観察はじっくり潜れる東側で局地的に潜る。

二つ目は「旧石器時代、玄界灘は陸だった」という事実だ。
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大陸と日本列島をつなぐ陸橋として存在し(対馬海峡の一部は川のように海として残っていた、という説もあるが)、ナウマンゾウを追って人類もこの列島にやってきたと言われている。
今より100mほど低かったと言われている当時の海面を考えると、沖ノ島は日本海を見渡せる山で、僕らはその麓で潜っている、ということになる。
島となった現在でも豊かな湧き水を持つ沖ノ島の麓に、人類が定住していた、という可能性は否定できないだろう。
ナウマンゾウを狩り、洞窟の前で火を起こし、日本海を見下ろしながら一息つく。
そんな人々の痕跡が全く残っていない、と果たして言い切れるだろうか?

やがて氷河期が終わり海となった後も人類はこの海の道を渡って大陸と交流を持ち続ける。
そしていつしかこの島に神が宿り、現在も連綿と続く沖ノ島信仰が生まれた。
島では数多くの祭祀が行われ、その遺物は全て国宝に認定されるなど、海の正倉院と呼ばれる沖ノ島。
水上で祭祀が行われた可能性も大いにあるだろう。

「黒潮と歴史ロマン。」
玄界灘は日本の海の父親である黒潮と、日本文化の石杖となった大陸との交流がクロスする交差点。
そしてそのど真ん中に位置するのが世界遺産沖ノ島だ。

「寄る、ではなく寄せる」
さて、そんな沖ノ島での6月のダイビング。
1本目は風が上がる前に黒潮直撃、西側のジャンダルムへ。
昨年デビューしたこのポイントをより広範囲に探りつつ回遊魚との遭遇を狙う、がテーマ。

が、エントリーして下を見ると早くも回遊魚(ブリとヒラマサの混泳と思われる)が渦巻いているではないか!
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いつもそこにある岩より狙いの回遊魚!
ということでポイントサーチより魚群ぐるぐる絵巻にシフト。
魚群と行動を共にし、回遊コースを読み、音やアクションで魚達の興味を引くと、初めは遠かったこの子達もいつの間にかダイバーをぐるぐる巻きだ。
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寄る、より寄せる。
これが僕のガイディング。
ゲストまで1m、の距離まで呼び寄せることができればあとはゲストの腕前に託して。
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この通り!
ナイスショットです!

30分ぐるぐるを堪能して浮上。
東側のポイントに現れる回遊魚群の規模を1だとすると、西側の群れの規模は5だ。
やはり潮面のポイントは圧倒的なポテンシャルを持っている。

2本目、3本目は西風が強くなってきたので風裏の東側へ移動。
トライアングル、インペリアルでじっくり潜る。

この日のトライアングルは潮の流れがイマイチでソフトコーラルの活性が低い。
残念ながら三角アーチはソフトコーラルがほとんどしぼんでいた。
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けど綺麗に開いている場所を探してパチリ。

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イサキの群れも少しづつ規模が大きくなって来たようだ。

インペリアルでは春先浅場に上ってくるシキシマハナダイを見に行くも、すでにみんな深場に移動してしまい撮影チャンスには恵まれず。
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かわりにこちらを。
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今まで何で気がつかなかったんだ?
っていうくらい存在感のあるイエロー(笑)
ずっといてくれるといいな。

一発勝負の西側と、じっくりダイブの東側。
それぞれの特徴がよく出た1日だった。

水中写真は全て程塚様に頂きました。
ありがとうございます。

<6.18 DIVE LOG>
水温20〜21度 透明度15〜20m

DIVE1 沖ノ島 ジャンダルム
DIVE2 沖ノ島 トライアングル
DIVE3 沖ノ島 インペリアル

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玄界灘Discovery Cruise
https://stingraycruise.com

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