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「トカラ列島、悪石島でダイビング!」 〜GWクルーズの航海記〜

薩南諸島やトカラ列島はその昔、壇ノ浦で源氏に敗れた平家の落ち武者たちが追っ手を逃れてたどり着いた島だと言われている。
彼らは辿り着いた島にわざと不気味な名前をつけて追っ手が近づかないようにしたんだとか。
(諸説あり)

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ダイビングに限らず、日本の旅行の面白さは歴史にある、と僕は思う。
2000年を超える長い歴史を持つ国は世界でも稀有な存在。
ダイビング旅行とはいえ、少しでもその土地の歴史に触れるような体験ができたら、その旅の思い出は一味も二味も違ったものになるだろう。

そんな魅力も伝えられたら、と思うが、歴史のロマンに思いを馳せるととても一回のコラムでは書ききれないので、クルーズ乗船の際は僕のそんなロマン話もちょっとだけ楽しみにしといてください(笑)

まあとにかく、戦に敗れ必死の思いで黒潮を横切って絶海の孤島に落ち延びた彼らの心情などを想像しつつ、枕崎からトカラ列島を目指すのである。

枕崎から悪石島まで直線距離で210km。
5日間の航海の4日目に悪石島遠征の計画を立てる。
悪石島以外にも、薩摩竹島、薩摩硫黄島、口永良部島、口之島、中之島、臥蛇島、小臥蛇島、諏訪之瀬島と実に多様な表情を見せる島々を巡るこのクルーズ。
5日間の航行距離は550kmを超える。
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「そんな遠くに来てるんだ?」
クルーズ中ゲストの方によく言われる言葉だ。
この海域の規模があまりにも壮大すぎてよくわかんない、という方が多いのだと思う。

これと同じ距離を走るとしたらどんなクルーズが実現可能か、わかりやすく例を出してみよう。

例えば関東の方。
伊豆半島下田を出港して神子元島、銭洲でダイビング。
藺灘波島(いなんばじま)で潜って八丈島へ。
八丈島をぐるっと回り御蔵島、三宅島を経て神津島、新島、利島、伊豆大島を潜って下田へ戻る。
伊豆諸島周遊の旅。これで550キロ。
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例えば沖縄だと
宮古島を出港し下地、伊良部島を経て多良間島へ。
その後石垣島から波照間島。
ついでにオガン島を潜って与那国へ。
鳩間島、水納島から宮古島へ戻るコース。
先島諸島完全制覇!これで540km。
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我々の地元福岡糸島だと
小呂島(おろのしま)潜って壱岐に行って、二神島潜って対馬を周遊。
さらに釜山に行って帰りに世界遺産沖ノ島潜って福岡糸島へ戻る。
国境超えちゃった!これで520kmちょい。
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どれも面白そうやな!!
全部実現させよっかな(笑)

とにかく5日間でとんでもない距離を移動しながら潜る壮大なクルーズです、と言うのはわかっていただきたい。

予定通り渡れるだけでも有り難や、ですよ。
無事島にたどり着いた安堵感は平家の落ち武者も我々も同じなのだ。

さて、今回のテーマはトカラ列島、悪石島でダイビング!。

Discovery Cruiseでは昨年まで諏訪之瀬島が最南端。
いよいよトカラの本丸へと迫ろう、というのが今年のテーマ。
遠征実現のために3000リットル燃料満載の栄真丸。
それでも足りないので口之島での給油体制も整えた。
先人たちの「トカラの中でも悪石島は別格」という言葉に膨らむ期待を胸に、いざ悪石島を目指す!

今回のトカラクルーズのベース、中之島を悪石島に向け出港したのはクルーズの四日目の事。
1時間ほどで諏訪之瀬島に到着。
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200年前に大噴火を起こして80年ほど無人状態が続いたこの島。
島の西側はその時の火砕流の跡が今も生々しい。

諏訪之瀬島からさらに40分ほど走ると悪石島だ。
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悪石、という名前にふさわしいゴツゴツした外観。
黒潮に染まる海。
期待が高まる。

悪石島ダイビング1 「ロウニン街をロングドリフト」

魚探で島の周囲をぐるっと一回りしながら海底の様子を探る。
この島もトカラ列島の他の島々と同じく黒潮が当たる北西から南西部に魚が集まっている。
潮はさほど強くない。
大潮なんだけど、トカラの大潮は激流か全然流れないか、どちらかのことが多い。
今回は流れない大潮のようで、心地よい緩やかな流れ。

1本目はドロップオフでちょっと根待ち、からのリーフエッジロングドリフトコースをチョイス。

まずはドロップオフの上手から壁の中段を目指してゆっくりと潜降。
ドロップオフにはイソマグロが群れ、ウメイロやグルクン、ムロアジ、カスミチョウチョウウオ、ハギの仲間などが所狭しとひしめいている実にトカラらしい光景。
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しばらく堪能しリーフエッジを流す。

「トカラの魅力は美しい光景にあり!」
昨今、いわゆるダイビングリゾートに行くと、ここはサンゴが綺麗です、とか、ここはイソバナが綺麗です、とか場所限定で、つまり残されたわずかなサンゴやイソバナなどをポイントとして使っているのだろうけど、トカラはどこまで行ってもサンゴが綺麗だし、どこまで行ってもイソバナが続いている。
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僕はこれこそが「THEトカラの海」だと思ってます。
大物だけを求めて、はるか外洋に目を凝らし届かぬサメのシルエットを追う、もトカラのロマンだけど、この素晴らしい景観に目がいかないのも勿体無い話だと思う。
まあ、欲張りな話なんだけど(笑)
でもこんなに素晴らしい、日本の原風景を残している海は数える程しかないでしょう?

美しいサンゴ。
時々現れる大きな岩にはびっしりとイソバナ。
そんな光景を眺めつつ気持ちよく流す。

「来る、来る!来た~~!!」

ロウニンアジ!
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ドリフト中20匹は見ただろうか。

単体で、2、3匹で、10匹近い群れで。
とにかくダイバーに興味を持って近づいてくる。
浪人3
浪人2
浪人
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こりゃもう浪人街だ!
迂闊に立ち入ったら斬られちまうぜ。

流れに任せて1kmほどドリフトして心地よいダウンカレントを感じつつ浮上。
トカラらしい爽快なドリフトダイビングだった。

休憩時間は港でランチ。
噂の「悪」Tシャツもゲット!
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悪石島ダイビング2「豪快!悪石島」
さて2本目は島の北西部へ。
黒潮直撃で潮うねりが凄いエリアだけど、先人たちは「悪石島ならここ!」と太鼓判を押すポイント。
が、魚探で探ってもさほど魚影はない。
悩む、けど飛び込む。
それがDiscoveryだからね♫

こちらも穏やかな流れ。
まずは乱立する根を横に眺めつつ沖を目指す。
アカモンガラだらけだ!!
外れの予感が漂う(笑)

しかしポイントの核心部。
つまり大物が集まるであろう先端部を探る。
(この時点で先がどうなってるか、なんてわかんないんだけど)
弱いとはいえ流れに掴まって根の後ろに回されてしまうと、先へは進めない。
少し沖側、うまく距離を測って流れに捕まらないように全体をコントロールする。
これが肝心。

そして進むこと数十m。
ちょっとした潮が溜まるような地形を見つけて一休み、と思ったその時。
「でかい!」
巨大イソマグロたちがそこで休んでいた。
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イソ

そしてマグロたちに誘われるように先端部へ。
なかなか距離を詰めることができないが、イソマグロの群れが渦巻いてるようだ。
マグロ群れ


さらに沖へ!
と思って後ろを振り返るとほぼ全員根に掴まっていた(笑)
そうなるとそこから飛び出すのは難しい。

オッケー、今日はここまでだ。
でも核心部はこのあたりだろう。
沖待ちできれば大物ラッシュが期待できそうだ。

そして根の上を流しつつ浅い方を目指すと、巨大なナポレオンが登場!
しかも3匹。
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素晴らしい。
地形も面白い。
ここはもう一度、いや何度でも潜りたいポイントだ。

「魚探には映らない、大物たちが潜む海。」
またひとつ、面白い海を見つけた。
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「GWクルーズの総評」

「前日のタイガー、そしてサメシーズンは終わり、トカラ初夏シーズンへ突入!」

今回は初日、二日目の北西風の天候判断、非常に迷いました。
特に初日。
まず一気に中之島まで下るか、途中で潜るかの判断。
一気に渡ると二日目も北西風のためポイントが被ってしまう可能性もある。
しかし三島エリアは水温が低い可能性がある。
結果、竹島付近で水温が23度になったので竹島で潜る選択をしました。
が、午後から風が予報より西に周り口永良部のポイントはほぼ潜れず、、、
風裏で何となくの場所に潜る、のもアリかもしれませんが、クルーズ後半天気が良くなる予報にかけて、あえて数合わせのダイビングはせず、1本で切り上げて口永良部島秘湯ツアーを急遽実施。
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(寝待温泉)
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(本村温泉)

この辺の判断はどっちが正解、不正解というのはさほど重要ではなく、どう転んでも対応できる準備力がこのクルーズでは一番大事、と僕は思ってます。
これができないとこのクルーズを企画すること自体無理でしょう。

二日目は予報通りの北西風で予定通り中之島摩天楼へ。
3月4月と大当たり連発のポイントで、さらに、
屋久島の潜り屋、清水大地さんから「昨日タイガーいました!」情報もらってたんで期待膨らみましたがノーカレント、、、
2本潜ってその後2時間待ってもノーカレント(笑)
魚探反応も悪いので2本で切り上げました。
タイミング合わず残念。
初日と二日目はダイビングより温泉ツアーの雰囲気に(笑)
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(中之島くつろぎの湯)
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(トカラ馬見学)

三日目は臥蛇島、小臥蛇島へ遠征して4ダイブ。
こちらもカレントがなかなか合わず、しかも水温も26度越え。
厳しかったけど、最後流れてなくても魚影マックスな雄神瀬で鬱憤を晴らして帰ってきました。
マグロ群れ群れ
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四日目は前述の通り訪之瀬島と悪石島で4ダイブ。

最終日のポイントチョイスも非常に迷いました。
摩天楼にもう一度かけてみるか?
北上するか。
口之島の高木さんより「芽瀬でタイガー出てる情報」をもらい、北上プランをチョイス。
午後は風も上がる予報だったので2本目の芽瀬を10時半に潜りトカラ海峡を越えて口永良部島に渡る、というプランに決定。
ちょっと早めに中之島を出て1本目は口之島平瀬をチョイス。
お約束のマグロ艦隊、そして浮上前の優雅なメジロザメ。
口之島で給油と給水を終えて「いざ!芽瀬へ!」と、完璧にプラン通りでしたが、、、

着いたら先客が、、、
しかもGT狙いのキャスティング船が北ウィングの上でキャステング中、、、

「あ~最悪や。あの船はめっちゃ粘りますよ。」
と船長。

先着の船に優先権あり。
潮当たる北西側を流しながらキャステングを続けるGT船。
キャスティング船は四方八方にルアーを投じるので、ここはマナーを守ってかなり距離をとってじっと待つ。

ひょっとしたら口之島のフェリーに合わせて帰るかも?
という淡い期待も空しく50分ほど待っても帰る気配なし。
ダイビング船同士なら交代で、と言うのも可能なんだろうけど、あっちも早朝からずっとこのポイントにかけて粘っているんだろう。
こればっかりはしょうがない。

すべてはうまく進んだのに、プラン通りいかないこともある。
残念だな~

風も強まって来たので芽瀬を諦めて口永良部島野崎へ。
透明度イマイチでしたがローニンの群れやイソマグロ登場。
ハンマーも出たようですが、一人しか見れず、、、
締めの硫黄島にかけてみるも水温高いのは表層だけ。
深場は低水温、クラゲリバー(笑)
厳しい最終日となりました、、、
あか
カツオ

狙いのタイガーはすべて前日、「昨日はいたらしい」のあるあるパターン。
ガイドとしてはとても悔しいけど、巡り合わせが悪かった。

でも今後のトカラ海域でのダイビング向けて一ついいことが始まりました。
それはガイド同士の情報共有です。

口之島ダイビングサービスの高木さんとはこれまでもちょくちょく情報交換して来ましたが、今年はもう一人、屋久島の潜り屋、清水大地さんとの情報共有もスタート。
繋げてくれたのは元デイドリームの遠藤さん。
2月に東京でお会いして色々お話しできました。
ありがとうございます。
トカラ海域のガイドは3名しかいませんが、少ないながらもみんなでいろんな情報を共有して、より刺激的で楽しめるトカラダイビングになっていくといいな~と、期待してます。

今回も宿はトカラ中之島の海游倶楽部さんでした。
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いつもありがとうござます!

写真は関様、鳥居様、池田様、日田様よりご提供いただきました。
ありがとうございます。

4月のクルーズは24度台だった水温が26度超え。
沖縄より水温が高い黒潮トカラの海。
サメシーズンは終わり、初夏の回遊魚シーズン到来って感じでしたね。

と言う事で、今回のログマップです♫
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次は6月11日夜から16日、悪石島を目指して出港です。
1席空きがあります。
トビウオが産卵で沿岸部に集結。
それを狙う大物たちも沿岸部に集まるベストシーズンです。
お問い合わせ、大歓迎です。
お待ちしています。

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薩南&トカラDiscovery Cruise ガイド 木村尚之
https://tokara-dive.jp
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